全国で初めて「SDGs未来都市」に選定された福岡県北九州市。人口減少に悩むなか、にぎわいを取り戻すことに成功したある商店街の挑戦とは。
福岡県小倉駅前で、およそ160もの商店が軒を連ねる「魚町銀天街」。
この商店街では今、全国に先駆けた、画期的な取り組みを行っています。
その名も「SDGs商店街」。
「持続可能社会」の実現に向けた、街を挙げてのプロジェクトは「内閣総理大臣賞」も受賞しました。
果たして、その取り組みとは・・・。
利用客:「毎日のように来るよ。新鮮な野菜が売っているから」「甘味が全然違う」
新鮮野菜がズラリと並ぶこの青果店には“ある秘密”が。それは、味はおいしいのに“規格外”というだけで売られていなかった野菜を低価格で販売。
しかも・・・。
アルク農業サービス・永井洋介さん:「朝採れなので、朝採った野菜を夕食に食べたら本当おいしい」
扱う野菜は、地元農家がその日の朝に収穫した“朝採れ野菜”。“地産地消”にこだわりながら“フードロス”も防いでいるんです。
こちらの老舗茶屋では、なんと、お茶の“出がらし”をおいしく食べることができる「ポン酢」を開発。捨てるはずの食材を、大変身させました。
そう、この商店街の取り組み「もったいない」がテーマなんです。
大正12年創業の老舗・呉服店が扱う商品は、綿100%の「大判風呂敷」。素材が丈夫なので、「エコバッグ」としても活用できるんです。
ゑり福・瀬口裕章社長:「やはり“もったいない”という理念(が大事)。何十年にもわたって使えます」
職人が丹精込めて作った風呂敷を、色んな用途で末永く活用してほしい・・・それが店主の願いです。
さらに、商店街が8年前から取り組んでいるのが“街ゼミ”。
こちらの仏壇店では、お香を「香り袋」としても楽しめる技を伝授。
こちらの若いエンジニアが企画したのは「空き缶」を再利用した「携帯用コンロ」でした。ごはんが、おいしく炊けるんです。参加したおじいちゃんも、思わず・・・。
そして、商店街のシンボルとなっているのが、アーケードの接合部分に設置された、合計20枚の太陽光パネル。街灯の電力に一部使用しています。近い将来、商店街すべての電気を賄うのが夢なんだとか。
この商店街が様々な取り組みを行うのは“切実な理由”がありました。
魚町商店街振興組合・梯輝元理事長:「北九州の人口が段々下がってきた。商店街の店舗も閉まってきて、シャッター街になつつあった」
今、北九州市で課題となっている人口減少による“シャッター街問題” 。
総務省によれば、「人口減少数」は、全市町村のなかで、北九州市が「ワースト1位」に。
この商店街でも、通行量はピーク時の4分の1に激減、一時は空きビルも目立つ事態に・・・。
そこで行ったのが・・・ビルの「リノベーション」でした。若い事業者が、安い家賃でも出店できるよう、フロアを細かく分割。その結果・・・街が息を吹き返したのです。
魚町商店街振興組合・梯輝元理事長:「非常に街自体が若返って、活気が出てきた。SDGsという目標に向かって商店街が一つになった。
引用:テレ朝news
魚町銀天街SDGs.com
SDGs商店街宣言
魚町銀天街は、北九州ESD協議会と連携して、SDGs商店街を目指します宣言。
魚町銀天街は、その発祥を江戸時代の魚河岸に求められるとされています。昭和の初めより、小倉は交通の要所にある商都として栄え、魚町銀天街はその中心市街地の商店街として発展してまいりました。
昭和26年には、日本で公道上に初めてアーケードを建設し、公募による銀天街という愛称は、その後各地の商店街の名称に採用されています。平成になれば、日本で2番目に国道上にジョイントアーケード(エコルーフ)を建設して、リノベーションスクールを中核とするリノベーションまちづくりの発祥の地としても全国的に知られるようになりました。
この度、魚町商店街は、北九州市が平成30年4月に経済協力開発機構(OECD)よりアジア初の「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に認定されたことをきっかけに、SDGs商店街を目指すことにしました。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。平成27年に国連サミットで採択されました。具体的には、17の目標と169のターゲットからなっています。これらはすべて、持続可能な経済・社会づくりを目的として、貧困・環境・教育などの解決を通じて、子や孫の世代に美しい地球を残していこうとするものです。
魚町銀天街では、これらの思想に共鳴して、先進的な気質を有する商店街として、日本で初めてSDGs商店街となることを決意しました。具体的な行動はこれからですが、SDGs商店街という名に恥じない商店街となることを目指しておりますので、今後ともご協力・ご支援の程よろしくお願いします。
2018年8月16日
※SDGsが掲げる17の目標
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に保健と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
魚町商店街振興組合理事長 梯 輝元
第3回ジャパンSDGsアワード 内閣総理大臣賞受賞!!
魚町銀天街SDGs.com
外務省主催によるジャパンSDGsアワードで魚町銀天街のSDGsへの取り組みがなんと最優秀賞である「内閣総理大臣賞」を受賞しました!
令和元年年末に首相官邸での表彰式に招かれ魚町銀天街SDGsプロジェクトメンバーが表彰を受けて来ました。
大阪府や日本青年会議所等の大きな団体に混じり地方の商店街が表彰を受けるとは、しかも最優秀賞である「内閣総理大臣賞」を受賞するとは本当にびっくりです。
厳重な警戒の中首相官邸に入り、表彰式のリハーサル
リハーサル終了後、他の受賞団体の方とも交流ができ、今後のSDGs活動にもきっと役立てることができると思っています。
本番ではテレビでしかみた事のない、安倍首相や菅官房長官がいらっしゃいました。
今回の表彰ではやはり商店街がSDGsに取り組むという特異性が一番評価されましたが、実践を積み上げて来た、ということも評価されていました。
また、ホームレス支援等の一見商店街らしからぬ活動にも注目が集まっていました。
魚町銀天街ではSDGsの目標の何番と何番に取り組む、というような考えではなく。
全ての目標に取り組む事を考えて実践しています。
自分達はこういう団体だからこの目標だけ、という考えでは今までの活動とあまり変わらないのではないでしょうか?
当然商店街なので出来ることには限界があります。ただ全ての目標に対し取り組むことは絶対諦めません。
昨年も防災というテーマに対し商店街が何か役に立てないか。専門家を招いて勉強会をしました。
そこから具体的な取り組みは生まれていませんが、災害後の街に元気を取り戻す役割が果たせないか?とか違った角度のアイディアを出て来ています。
そういった構想や妄想はいつか何かの拍子で結びついて大きな成果を生むかもしれません。
SDGsという新しい世界の目標の本当に面白いところは「全てはつながっている」という考え方だと思います。
今後も魚町銀天街は商店街の枠に留まらず、全ての目標に対し取り組んでいきたいと考えています。
第3回SDGsアワードの受賞で、その取り組みにより拍車をかけていけると信じています。
今回のアワードの全体の情報はこちらをご覧くださいaward3_win.pdfpdf ファイル www.mofa.go.jp
魚町銀天街の受賞理由等はこちらaward3_1_uomachishoppingstreet.pdfpdf ファイル www.mofa.go.jp
引用:西日本新聞社発行 てくてく北九州掲載