2021年9月28日 6時02分 環境
NTTグループは、2040年度までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという新たな目標を設けます。
「IOWN」と呼ばれる光技術を使った次世代通信ネットワークで、電力の消費を大幅に減らすのが柱で、政府のカーボンニュートラルの目標時期より早い実現を目指します。
NTTは、これまで温室効果ガスの削減目標を掲げていませんでしたが、関係者によりますと、NTTドコモやNTT東日本、西日本などを含めたグループ全体の目標を初めてつくります。
目標では、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度と比較して80%以上削減し、2040年度までに実質ゼロにすることを目指します。
目標実現の柱とするのは、情報処理や通信を、電子ではなく、光技術で行う「IOWN」と呼ばれる次世代ネットワークです。
電力消費を100分の1に抑えるという特徴があり、この技術をデータセンターや基地局、通信機器などに導入、拡大していくことで、削減効果全体の45%分を見込みます。
さらに、太陽光発電や風力発電などの活用も増やす方針で、2050年までにとしている政府のカーボンニュートラルの目標時期よりも早い実現を目指すことにしています。
世界的にデジタル化が加速する一方で、急増するデータセンターなどでの電力消費をどう抑えていくかが課題となっていて、光技術の活用が広がる可能性もあります。
次世代通信ネットワーク「IOWN」とは
光技術を使った次世代通信ネットワークのIOWNはNTTが開発に力を入れている分野です。
基幹的な通信回線は、すでに光ファイバーを利用して“光”で通信していますが、IOWNでは、さらに手元の端末までの情報伝達や処理にも“光”を用います。
実現すれば、まばたきする間に2時間の映画を1万本ダウンロードできるなど、今よりもはるかに高速、大容量の通信が可能になるとされています。
そして、もう一つの大きな特徴が消費電力が少ないことです。
電気信号を送る場合、エネルギーのロスが生じますが、光技術ではロスがほとんどなく、今の通信ネットワークの100分の1に抑えることができます。
NTTはまず、2025年までにチップとチップの間の通信に光を使う技術を実用化し、その後、チップの中の情報処理も光で行う技術を開発する計画です。
情報通信分野の電力消費は
情報通信の分野では、あらゆる機器をインターネットでつなぐIoTや、AIの活用が広がることでデータ通信量が今後大きく伸びると予想されています。
科学技術振興機構によりますと、2030年の通信量は2016年と比べて30倍以上にのぼると試算しています。
これに伴って、電力消費も増えると予想されていて、科学技術振興機構の別の試算では、国内のデータセンター全体の電力消費は今の機器を使い続けた場合、2030年には2018年の6倍余り、その後は増加幅がどんどん拡大し、2050年には850倍になると見込んでいます。
NTTは、情報通信の分野だけでなく、製造業などでも光技術を使った半導体をパソコンなどの電子機器やロボットに使うことで、温室効果ガスの削減につながる可能性があるとみています。
引用:NHK
大手企業が温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を設定することは意義が大きいです。これからも他の企業が続いてくれることを期待します。