多くの大学生が新社会人生活をスタートした中、その道を選ばなかった人もいます。今回は大学3年生のときにカップルで話し合い、就活をせずに起業した2人のエピソードを紹介します。
(以下、TikTok公式note編集部が行ったインタビューをもとに構成)
「就活したくないよね」から始まった挑戦
横浜市内を中心に展開する移動式チュロス屋さんの「CHURROS AVENUEさん」(2021年3月より静岡市へ営業拠点を移動)。
このお店を運営するのは、2021年4月に大学を卒業した佐野さんと、足立さんです。当時22歳の大学生だった2人がチュロス屋さんを始めた理由はひょんなことがきっかけでした。
「大学3年生の終わりごろに卒業後のことを話していたときに『就活したくないよね』と。そこでふわっと『カフェとかやりたいね』と盛り上がったのがきっかけです」(足立さん)
ここまではよく耳にする大学生カップルの何気ない日常会話ですが、その後のアクションの早さが違いました。
「意外と彼女は乗り気で『場所に縛られないので、店舗じゃなくてキッチンカーでやらない?』と提案されて。最初は客単価の高いカレー屋さんにしようと話していたのですが、それだとランチタイムしかキャッシュポイントがない。そこで販売時間が長いスイーツに目をつけました。チュロス屋さんなら、11~19時と販売時間が長くとれるからです」
こうして2020年3月に60万円で購入した中古の軽自動車バンにDIYでキッチンを併設し、オープンにこぎつけました。周りの同級生がエントリーシートを書き、面接を受け続けるなか、黙々と作業していたのです。
「大学生なのでお金はかけられないですから。お店の開業にあたっては、キッチンカーの開業セミナーに加してノウハウを教えてもらいました。が、チュロスのレシピやメニュー、デザインなどはすべてゼロから自分たちで手掛けました」
試作に試作を重ねながら、こうして店舗をスタートさせた2人。横浜市内の商業施設を中心に店舗を構え、今では1日220人、売上は1日9万円ほどを叩き出すようになったそうです。
「一番安いメニューはチュロスで350円。パフェが600円くらいです。10~20代の女性が半分以上ですね」
TikTokを始めたのはキッチンカーをオープンさせてからわずか2日目のこと。
「それまではインスタを使って集客していたのですが、『見る専用で使っていたTikTokでも発信してみようか』という話になって始めました。インスタはビジネスアカウントにしていたので、フォロワーはどこに住んでいる人が多いのかわかっていて、僕たちが住んでいる横浜市が多いことがわかっていました。一方で、TikTokは横浜以外に住む方からのフォローもかなり多かったんです」
では、どちらのSNSが集客に貢献したかと聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。
「今はTikTokが集客につながっていますが、どちらがよいということじゃなくて、SNSって結局役割分担だと思うんです。インスタはおしゃれな投稿が人気を集めやすいので、ブランドイメージを作るために使っています。ホームページに近いかもしれません。一方で、TikTokは最初に認知してもらうきっかけとなるプラットフォームだと捉えています」
佐野さんいわく、TikTokではチュロスをおいしそうに撮ることよりも、“動き”に特徴を加えて撮影するほうがフォロワーが増えやすいといいます。
「店舗のカラフルな色を見せたり、チュロスをしぼるなどチュロス屋さん特有のおもしろい素材のほうが好まれますね」
バズリすぎてお店は大混乱に…
こうして、わずか6畳程度のキッチンカーのアカウントは2万9000人のフォロワーを抱えるまでになりました(取材時4月16日時点)。ところが、そのあまりの人気ぶりから急激にお客さんが増えたことで予想外のトラブルも生まれたそうです。
「数日の間でバズった動画が続いたこともあり、お客さんが急激に増え始めたんです。結果、チュロスの生産が間に合わなくなり、15時には売り切れてしまい、数が足りなくなりました(本来、お店は19時まで営業)。そこで、生産体制を変えて、事前に仕込んで冷凍したものを持ってきて、それでも現場で品薄になったときは粉から作れるように素材も準備するようになりました」
今でもTikTokでウケる動画を撮影し続けている2人ですが、何より感じているのはTikTokとグルメの相性のよさだといいます。
「おしゃれというよりも驚きを生むのがポイントです。TikTokでは『おいしそう』という感想だけでなく、『おもしろい!』『実際に見てみたい』『2人に会ってみたい』というコメントがとても多いんです。実際にお店に足を運んだ人は『意外とおいしいですね』と、びっくりされることもあります(笑) 」
これだけ集客に貢献しているお店のアカウントですが、他のSNSのフォロワーを増やすうえでも大きくTikTokは貢献しているそうです。
「ここ最近はお客さんの8割がTikTokを見て来てくれた人たちです。でも、これは店舗だけじゃないんです。以前、インスタのフォロワー数を増やしたくて、インスタをフォローしてくれたお客さんには50円トッピングが無料というキャンペーンを実施したところ、たった数週間でフォロワーが500人から3000人まで一気に増えました。実は、フォローしてくれた人はほぼTikTok経由でした。他のSNSでもTikTokが最初の入口になっているのは驚きました」
では、ここまでTikTokからの集客が多い理由はなぜだと考えているのでしょうか。
「やはり、TikTokは『おすすめフィード』にのると一気に多くの人に見てもらえる点が魅力的です。そのため、小さな飲食店のアカウントでも、最初の投稿でもバズりやすいんです」
ほかの飲食店がTikTokを始めるなら?
飲食店がTikTokアカウントを始めるならば、どんな動画を投稿すればよいのでしょうか。
「やはり、その飲食店特有の投稿が向いていると思います。お寿司屋さんならば、普段見れないシーンを撮るとか。厨房で魚をさばいてるところや、海苔を炙っているところなど。鯛焼きや屋さんならば、あんこを見せるとかですね。おしゃれかどうかよりも、普段あまり見れないおもしろいシーンを収めた動画がTikTokで好まれます」
「おいしそう」よりも「おもしろい!」。そんな視点を取り入れることで、小さな飲食店も大きく集客できる。就職という決められたレールを選ばなかった2人が始めたお店は、これからもチュロス屋さんの行列のように長く長く愛されていくのではないでしょうか。
※この記事は、「TikTok」の公式noteアカウントで2021年3月11日に配信されたインタビュー記事を再編集したものです。