日本通運は物流業界で何位にいる?

物流業界の世界ランキング:日本通運は何位?DHLやFedExとどう戦うべきか

物流業界は、陸運を中心に世界的に見てもドメスティックな領域だったが、経済のグローバル化に伴って、国際化が加速している。グローバルランキングでは、DHL、UPS、フェデックスという欧米の国際航空宅配便「インテグレーター」の大手3社がトップ3を独占したのをはじめ、国際的な物流網を構築している先進国の大手物流業が上位に入っている。荷主から物流業務を一括受託するサービスの3PL、国際宅配便の成長などを背景に、今後も国境を越えた物流業の合従連衡は活発化すると見られる。そうした中、日本通運も、環太平洋地域を主軸に国際事業の強化に乗り出し、ランクアップをうかがっている。

ネット通販の普及に伴う流通のグローバル化により、物流業界では国際競争が加速

ネット通販の台頭で脚光を浴びるも、物流網は崩壊寸前
「物流業界」の基本
トップ10はすべて日米欧の物流業
3PLの成長をテコに国際再編が激化

ネット通販の台頭で脚光を浴びるも、物流網は崩壊寸前

 物流業界が今、脚光を浴びている。物流業は人類の歴史とともに発展し、社会を支えるインフラとして重要な役割を果たしてきたが、これまでは「縁の下の力持ち」として目立たない存在だった。

 ところが、ネット通販の台頭で再び脚光を浴びることになった。

物流業界の世界ランキング

 ネット通販は、PCやスマートフォンのボタンをクリックするだけで、いつでも、どこでも買い物ができ、商品も自宅に届けてもらえる。しかも、商品の検索、価格の比較なども一瞬でできるといった抜群の利便性を備えている。ネット通販は急激に伸びており、日本では今後しばらく、年10%前後の成長が見込まれている。

 しかし、それが新たな問題を引き起こした。メーカー→卸→スーパーといったB2Bの大量物流に比べて、ネット通販の宅配などB2Cの小口物流は断然手間がかかる。しかも、単身者世帯や共働き世帯が拡大し、配達したときに受取人が不在であることも増え、宅配便の配送効率はどんどん低下している。

 その一方で、物流業界は過当競争に巻き込まれ、荷主の物流費削減の要求に応じるため、合理化に次ぐ合理化を進めてきた。また、全国的な人手不足を背景として若年層の“物流業離れ”も加速している。こうして物流機能の余力はなくなり、宅配ニーズの急増に対応できなくなってしまっているのだ。

「物流業界」の基本

 そもそも物流とは、文字通り「モノの流れ」という意味である。運輸業には、ヒトを運ぶ旅客運送業とモノを運ぶ貨物運送業があるが、物流業とは主に貨物運送業を指すと考えればよい。輸送手段には陸運、海運、空運の3つがあるが、商品の流通がグローバル化している現在、それら3つの手段を効率的に組み合わせ、最適な物流ルートを構築することが重要になっている。

 たとえば、島国である日本は、海外との貿易では海運と空運が欠かせない。高額品やスピード輸送が求められる生鮮食品などを除いて、大半が海運を利用する。また、国内物流はトラックによる陸運が主流だが、大ロットでスピード輸送が必要でない貨物は、運賃が安い内航海運や貨物列車を利用するケースも多い。

 物流業界のプレーヤーとしては、陸運のメインであるトラック運送会社や鉄道会社、海運会社、空運を担う航空会社が挙げられるが、倉庫業や港湾荷役業なども物流業界に含まれる。

 物流業はライフラインを握っているだけに、国内外を問わず国策的な色合いが強い。たとえば日本では、海運の日本郵船がナショナルライン的存在であるし、陸運の日本通運、JR貨物、空運の日本航空も、かつては国策会社だった。

 だが、現在の世界の大手運輸業グループの多くは、国際的な総合物流サービスを展開しており、陸・海・空の輸送手段を兼備していたり、倉庫業や港湾荷役業を抱えていたりする。

 国際物流では、運輸業でありながら、自社では輸送手段を持たず、集荷や配送、キャリア(輸送手段を持つ運輸業)への委託、通関手続きなどを取りまとめる「フォワーダー」というビジネスモデルが成長している。

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