ユーラスエナジーグループ 風力発電最前線 強風と戦う“風職人”

引用:TBS/JNN

2021年5月3日 

福島県の発電所では、吹き荒れる台風並みの強風と向き合う職員の奮闘がありました。一方、イギリスでは意外な場所で風力発電を行おうとしています。

山本恵里伽アナウンサーがいるのは、福島県の山の中。

「ちょっと前に進むのも大変ですね」

「そうですね。今日はちょっと風が強い」

目の前に立っているのは23基もの風車。ここは風力発電所です。運営するのは、日本で初めて大規模風力発電所を作った業界トップのユーラスエナジー社です。

「風力発電設備というのは良い風が吹くところに建てる。(ここは)条件が良かったので建てた」(ユーラス滝根小白井ウインドファーム 田中裕介所長)

この風力発電所は、福島県の田村市といわき市にまたがって建設されています。阿武隈高地はパラグライダー大会も開かれる風の名所で、風力発電に適した場所なんです。

この日は台風並みの風速20mを超える風が吹いていました。これならたくさんの電気を作れるのではと思いきや…

Q.止まっている風車があるが、何で止まっている?

「まさに今、あの場所の瞬間風速が25mを超えましたので安全を。羽根とか物も飛んでいったりということも無いとは言えない。安全設計上、止めるようになっている」(ユーラス滝根小白井ウインドファーム 田中裕介所長)

羽などが飛ばないよう安全のためだといいますが、風力発電の羽がどのくらいの大きさかというと…

「風車の羽、実はこんなに大きいんです。39メートルもあります」(山本恵里伽アナウンサー)

万が一にも羽が飛ばないように止める。風力発電は風が強すぎてもダメで、安全管理のノウハウも重要なんです。

「1号機の方に向かいます」(作業員)

作業員が向かったのは、管理画面にエラーの表示が出ていた1号機の風車です。

「強風でバイブレーションセンサー(エラー)が出ているので、風車の中で異常が無いかの確認と落雷があったかの確認をします」(ユーラス滝根小白井ウインドファーム 長内大知さん)

地上80メートルにある「ナセル」という部分で異常が無いかチェックします。エラーの原因は強風の振動による機械の誤作動でした。

ユーラスエナジー社の親会社・豊田通商は“気候変動と向き合うのはビジネスそのもの”だととらえ、風力発電に力を入れています。しかし、日本ならではの問題も抱えているといいます。

「海外の場合は非常に広い土地があるので、建設コストも安く風力発電を建設することができるが、日本の場合は主に山間部に造るので通常よりも建設コストが高くなる。日本では風力発電の(陸上の)適地が無くなっているのが一番大きな問題」(豊田通商 執行幹部 平田竜也さん)

風力発電には風が強く吹く場所が必要です。広い土地を持たない日本が直面している一番の問題です。同じ状況のイギリスは洋上風力発電に力を入れています。さらに…

「きょうは本当に穏やかな春の日なんですが、当然ながら車の周りには気流が生じています」(ロンドン支局長 秋場聖治)

高速道路を走る車が起こす風を使おうというのが、イギリスのスタートアップ企業です。高速道路に立つ照明灯に30キロにわたって小型タービンを取り付けて発電すれば、1日に最低でも550世帯分を賄えるという計画です。

「これは9号機です。リサイクルされたプラスチックで作っています」(アルファ・スリーイレブン社 バリー・トンプソンCEO)

高速道路の照明灯という既存のインフラを利用しつつ、エネルギーを地産地消することで送電コストを削ります。さらにタービン内蔵のセンサーで収集した気象・交通情報を販売することで、安い価格で電力を提供できるといいます。

「今“光熱費の貧困”が問題になっています。光熱費を払えない人たちのことです。電気や発電に関わるコストを下げることで、人々が“光熱費の貧困”から抜け出す手伝いができるのです」(アルファ・スリーイレブン社 バリー・トンプソンCEO)

屋根などにも設置できるので、自宅や企業用にと136か国から問い合わせが来ました。今月にはロンドンの大型多目的施設にも設置予定です。

風という資源をどうやって効率的に活用していくのか?これは世界共通の課題です。

ユーラスエナジーホールディングス

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特徴

Feature

再生可能エネルギー開発をグローバルに展開。事業リスク分散で安定した経営ユーラスエナジーグループは、1987年にアメリカで風力発電事業をスタートさせて以来、30年以上にわたり、世界各国で再生可能エネルギーの発電事業に従事しています。

風力発電は、立地調査や風況調査から始まり、建設、保守・点検や運転管理まで、長期的な視点が必要なプロジェクトです。私たちは、その開発、建設、発電所運営という3つのフェーズを一貫して行う会社で、開発業者と発電事業者という二つの側面を持っています。
そうした事業モデルがグローバルで可能なのは、豊田通商という総合商社と東京電力ホールディングスの共同出資会社というバックボーンがあるからです。総合商社の世界的なネットワークやプロジェクトの開発力。もう一方で、設計や工事、マネジメントにおける電力会社の技術とノウハウ。それら両方の得意分野を最大限に活かすことで、良好な案件を着実に増やし、地に足を付けた事業展開を行っています。

現在は、米、欧、アジア太平洋州エリアを中心とした13カ国で操業。近年は、北半球だけでなく、南半球にもポートフォリオを広げるなど、先行する地域での経験を活かしつつ、トレンドを先読みした展開で新たなエリアにも積極的に事業拡大を進めています。
また、グローバルな展開で発電設備を分散して所有することにより、気候変動などによる自然環境のリスクや、エネルギー政策の転換といったカントリーリスクも軽減。事業リスクの分散で経営の安定化を図っています。事業案内

歴史

History

北半球から南半球まで、
再生可能エネルギーの普及・拡大に貢献ユーラスエナジーグループの風力発電事業は、1987年、米国カリフォルニア州から始まりました。その後、地球温暖化への関心の高まりを追い風とし、1993年のイギリスを皮切りに、イタリア、スペインなどヨーロッパ各地に事業エリアを拡大。1999年には、いち早く日本でも事業を開始し、さらに2010年以降は、オーストラリア、南米ウルグアイにも進出しています。2019年には、アフリカ大陸のエジプトでも操業を開始しました。

クリーンエネルギーとして高いポテンシャルを秘めた太陽光発電事業にも、2008年から参入。韓国、米国、日本、さらに南米チリで操業を始め、2020年にはオーストラリアで風力・太陽光及びバッテリーを組み合わせたハイブリッド再エネ発電所の操業も開始予定です。

かつては、石炭や石油などの化石燃料を資源として持たずエネルギー自給率が低い国は、発電のための資源を他国に依存したり、電力を高く買うしか手段がなく、不安定な状況でした。そうした国々が、風や太陽という別の資源によって自国で電力を作り、提供することが経済的にも物理的にも可能になっています。
私たちは、数々の開発事業を通じて、過疎化地域の活性化をはじめ、さまざまな国や地域のエネルギー供給や産業の発展をお手伝いしてきたという自負を持っています。

活動

Activity

4つの地域、14か国で100以上の発電所
プロジェクトが展開中現在は4つの地域、14カ国で風力発電と太陽光発電のプロジェクトを展開中です。

米国カリフォルニア州で5,000kWからスタートした風力発電事業は、2020年1月現在、全世界で278万kWを発電するまでに伸びています。さらに太陽光発電を加えると、日本を含むアジア太平洋州で127万kW、アメリカで57万kW、ヨーロッパで102万kW、アフリカで26万kW、合計312万kWの発電実績を上げています。操業中の発電所は98プロジェクトで、さらに建設中のプロジェクトも5カ所あります。

国内においては、北海道から鹿児島県まで16道府県に41カ所の発電施設を展開。そのうち風力発電所は32カ所で発電量は79万kWと国内No.1のシェアを誇っています。

風力発電は、発電を始めてから最低20年の安定・安全なオペレーションが必要とされる事業です。発電所を設置する地元市町村の方々とは、開発の段階から30年以上の長いお付き合いになることも珍しくはありません。私たちは、環境保全に対して責任を持って取り組むとともに、住民の方々に愛されるプロジェクトを目指しています。

たとえば国内では各発電所のエリアに常駐スタッフを置き、地元の方たちと交流を重ねています。特に、将来を担う小中校生を対象に出前授業やサイト見学会を開催し、風力発電の仕組みや再生可能エネルギー事業の社会貢献について理解を深める活動を行っています。参加した生徒から「大人になったら再生可能エネルギーの仕事に就きたい」といった手紙をいただくことが、私たちの励みになっています。
また、海外でも地元の小学生を風車見学会に招いたり、地権者を招いて事業報告会を兼ねたパーティを開催するなど地元との関係性を深め、友好的な関係を築いています。

こうした地域とともに歩む姿勢による信頼の積み重ねが、14カ国、100以上のプロジェクトにつながっています。発電所一覧

ビジョン

Vision

再生可能エネルギーの可能性を模索。
さらにその先の新しい形の事業に挑戦も2030年には、国内の発電量を現在の約3倍にあたる300万kWに、海外を300万kWにまで増やし、トータル600万kWにするのが目標です。海に囲まれた日本で期待が高まっている洋上風力発電事業への参入も検討。新たな再生可能エネルギーの可能性を模索し、常に挑戦を続けていきます。

ただし、私たちの目標はシェアNo.1を競うことではありません。目指すのは、質の高い、強い案件を持つリーディングカンパニー。それを可能にするのが30年間培ってきたノウハウであり、大きなアドバンテージとして事業の支えとなっています。

そしてすでに私たちは次のステップも視野に入れています。それが「電気を形を変えて売る」です。

私たちは現在、電気を作り、それを電力会社を通して、あるいは小売りの形で顧客に届けています。「電気を電気として、そのまま売る」という事業です。しかしその事業モデルでは、電気の安売り競争に巻き込まれる恐れがあります。そこで、「電気を電気として売るのではなく、他の形に変えて売る」というモデルを検討しています。たとえば、余剰電力を使って水素を作ったり、電気でコンピュータを稼働させ、計算力として提供する。送電線がなくてもインターネットを利用して、電気料込みのモノやサービスを提供することが可能です。

さらにその先は「需要を作り出す」。つまり、自分たちの作った電気を使い、他の事業を立ち上げることも可能だと考えています。

たとえば、送電網が完備されていない地域に風車を数本立て、蓄電池をつけて安定的にそのコミュニティに電源を供給するといった分散化電源。大規模な火力発電所では困難でも、風力や太陽光ならば必要な需要量に合わせて規模を変える柔軟性があります。新しい需要としてリモートシティを作り、人や工場を誘致することも可能になってきます。異業種とのコラボレーションも実現するかもしれません。

時代や社会、事業環境が最も欲している形に迅速に対応し、常にフレキシブルに変化できる存在でありたい。それが私たちが目指す会社の姿です。

未来

Future

地球の未来を考え、「持続可能な社会」の実現に向けてリードしていく次世代通信「5G」時代の到来で、クルマの自動運転や遠隔手術支援など、新たな社会インフラが現実のものとなってきました。IoTの普及は今後ますます加速することが予測されます。近未来の便利な暮らしの背景では莫大なデータがネットワークによってやりとりされることになり、それを支えるには「電気」が必要不可欠です。

同時に、「持続可能な社会」の実現に向けて、化石燃料に依存しないクリーンなエネルギー社会がやってくるのは必然でしょう。すでに、再生可能エネルギーですべての電力をまかなうスマートシティ構想など、環境と共生する次世代のまちづくりへの取り組みが世界各国で注目を集めています。

今後日本も、そうした構想の実現に向けてスピードアップしていく必要があります。ユーラスエナジーグループは、クリーンエネルギーのリーディングカンパニーとして、日本の「持続可能な社会」やスマートシティ構想をリードしていきたいと考えています。

引用:ユーラスエナジー

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