廃棄される規格外の花を1本100円で販売!hananeが目指す“消費者も生産者も笑顔になる”仕組み【SDGs】

2021年7月18日 20:54更新

東京ウォーカー(全国版)

目次

  1. SDGsってなに?
  2. hananeの取り組みとは?
  3. 「花は高い」「花屋に入りづらい」という固定観念を覆したい
  4. チャンスフラワーや「花つみ」なら、気軽に環境へ貢献できる

世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への関心が高まっている。各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、具体的にはどのようなことが行われているのだろうか?今回は、生花販売やイベント企画を営む「hanane」の広報担当者にインタビューを実施。SDGsへの取り組み事例を聞いた。

hanane店頭での花つみの様⼦

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hananeの取り組みとは?


――hananeは現在、規格外生花を種類問わず1本100円(税込)で販売するイベント「花つみ」を全国各地に拡大中だそうですが、SDGsの取り組みとしては具体的にどのようなことを実践し、どのようなゴールを目指しているのか教えてください。

【広報担当者】コロナ禍において、自宅で花を楽しむ需要が高まっています。それに応え、茎の長さや太さがまばらで通常の流通に乗らない規格外の花を「チャンスフラワー」と名付け、気軽に花を買える「花つみ」イベントを各地で開催しています。

【画像】花びらが2⾊になったバラのチャンスフラワー
花が⼩さいエキナセアのチャンスフラワー(左)
茎に曲がりのあるダリアのチャンスフラワー(左)


通常ならば値段が付けられなかったり、廃棄される予定だったりする花でも、リーズナブルな価格で提供することで、気軽に花に触れる機会を増やし、消費者も生産者も笑顔になる仕組みを作りたいと考えています。

このイベントは、コロナ前は3カ所での開催だったのが、現在は17倍拡大し、関東・関西合わせて約50店舗の店頭で実施しています。当社の店舗以外の、飲食店や小売店、美容院やクリーニング店など、普段花を扱わない業種でも展開するようになりました。異業種と連携し、パートナーシップでSDGsの目標を達成できるよう進めています。

都内セレクトショップでの花つみの様⼦
神⼾のパン屋での花つみの様⼦


これらの花は、子供たちの教育のため、地域の活性化のためにも有効活用していただこうと、ボランティアも行い、積極的に活動しています。

茎に曲がりのあるバラのチャンスフラワー
茎に曲がりのあるラナンキュラスのチャンスフラワー


<hananeの6つの目標>
【4】質の高い教育をみんなに
【8】働きがいも経済成長も
【11】住み続けられるまちづくりを
【13】気候変動に具体的な対策を
【15】陸の豊かさも守ろう
【17】パートナーシップで目標を達成しよう

「花は高い」「花屋に入りづらい」という固定観念を覆したい


――なぜこの取り組みを始めたのでしょうか?

【広報担当者】取り組みは、「花に触れる人を増やしたい」という思いのもと、2019年6月から開始しました。ユーザーからは「花は高い」「花屋に入りづらい」といった悩みも多く聞かれたので、“興味はあるけれど購入に至っていなかった層”に花を手に取ってもらうための施策として始めました。コロナ禍で客足が減るなか、導入を希望される店舗からは、花を飾ることで新規顧客の獲得や、集客アップ、ブランディングにつなげたいという声をいただいています。

コロナ前から国内の花の需要は年々減少傾向にありますが、チャンスフラワーを活用することで花を楽しむ習慣が根付き、消費量拡大につなげられると考えています。実際に、チャンスフラワーをきっかけに“花のある生活”を始められた人が、大切な人へのプレゼントにフラワーギフトを選ぶようになったという事例も増えています。生産者も消費者も販売店舗も笑顔になるよう、無駄をなくした循環型社会を根付かせたいと考えています。

チャンスフラワーや「花つみ」なら、気軽に環境へ貢献できる


――SDGsを実践してユーザーや生産者、社内からどのような反響がありましたか?

【広報担当者】ギフト販売だけでは開拓できなかった顧客層へアプローチできることや、花に興味を持つ人が増えたことをうれしく思います。生産者や「花つみ」実施店舗の方々からは、チャンスフラワーや「花つみ」で、気軽に環境へ貢献できることは「やりがいにもつながる」という言葉をいただき、事業推進の大きな励みになっています。

また、花を楽しむ裾野を広げるこの取り組みに、共感の声もいただいています。通常は規格内品のみ取り扱う複数の市場とも協力関係を結ぶことができました。2020年5月以降、葛西花き市場や北足立市場、姫路卸売市場などのと連携・協力が始まり、市場の流通網に乗せて全国からの集荷が可能になっています。集荷数は2019年6月には700本/月だったところ、2021年5月には5万本/月に。集荷総数は5月末には40万本を超えました。

神⼾の美容院での花つみの様⼦
⼤阪の帽⼦屋での花つみの様子


お客さまからは、通常ならば値段が付けられなかったり、廃棄される予定だった花を購入することができ、身近な取り組みで花農家さんを救うことにつなげられるのは大変うれしいという声も多くいただきます。

――SDGsの取り組みの先に目指す社会はどのようなものですか?

hanane店舗の外観
hanane店舗の内観


【広報担当者】世界にたくさんの花と笑顔が咲く世の中を目指しています。そのためにもまずは花に触れるきっかけを作るため、規格外生花の集荷量を増やし、販売店舗は本年度中に5大都市(東京、札幌、名古屋、⼤阪、福岡)に拡大させ、将来的には総数1万カ所を目標に掲げています。また、拡大したタイミングで販売後に出る花のロスを削減するため、集荷場を設けて売れ残りの花をまとめて土に変え、花の生産から販売後までどこにも無駄のない循環が生み出せるような構想を練っています。

引用:東京ウォーカー(全国版)

hananeの目標

hanane

規格外の花を有効活用し、世界にたくさんの笑顔を咲かせる

hananeがお花と人との関係を通して取り組むSDGsへの姿勢・考えをお伝えします。

農家さん

これまで市場で値がつけられなかった規格外の花たちは廃棄されることがほとんどでした。また、花の産出額は平成10年をピークに、近年も漸減的推移を続けています。hananeでは規格外生花の有効活用に乗り出し、花を「特別なもの」から「身近なもの」へと変化させ、消費量を高めていく取り組みを続けています。集荷本数は2019年6月時点で約700本/月、2021年3月時点では約5万1千本/月、2020年12月時点で累計31万本を超えました。2020年5月以降、葛西市場卸売市場花き部や北足立市場、姫路生花卸売市場などとも連携協力を結んだことで全国から多くの規格外生花の仕入れが可能となりました。多くの人へ花を届ける取り組みは、愛情を込めて生産している花農家さんの笑顔にもつながります。また、これまで捨てられていたものに価値を見出し、正当な賃金をお支払いすることも働く上でのモチベーション向上となります。

生活者

これまで生活者からは「花は高価なもの」「花屋に入りづらい」「何を選べばいいか分からない」という声が多く聞かれていました。消費を上げるには、このような思いを抱えている層へのアプローチが必要です。そこで有効活用しているのが規格外の花「チャンスフラワー」。1本100円で購入できる「花つみ」や飲食とともにアレンジメントを楽しむ「花会」の開催を通じ、花に対する敷居を下げる取り組みを続けています。花つみは飲食店やクリーニング店、美容サロンなどの店頭で販売、わかりやすい価格と生活に馴染む場で手に取れる気軽さが人気です。また、花会では飲食や参加者同士の交流を楽しみながら花に触れていただくことで、花が添えられた特別な体験を創っています。本来であれば使い道に乏しいところ、ご自宅用として活用することで多くの人にとって花のある生活が日常となり、自然を愛でる心が生まれる循環を作り出しています。チャンスフラワーとは…

子供たち

チャンスフラワーを手に取ってもらうことで、花の個性を生かし、持続可能な消費への意識を育てる教育に役立てています。また、幼少期から花に触れることで、大きくなっても花を身近に感じる心を育てることにもつながります。とある「花つみ」開催場所は、幼稚園児のお散歩コース上にあり、通りがかる際に園児たちが花に話しかけたり、先生が先導してそれぞれ1本選んでもらうイベントも生まれているそうです。小学生になってからも100円を握りしめて買いに来ることが習慣になった子もいるのだとか。小中高生に向けては、「花のある生活」推進プロジェクトのなかの1つとしてチャンスフラワーを通じた特別授業を開講。その存在を広めたいと、校内放送を企画する生徒や文化祭などで販売するクラスなど、子ども達の自由な発想で循環型社会の輪がどんどん広がっています。

環境

私たちが住むこの地球の環境に対し、さらに感度を高めていく必要があります。hananeは「世界にたくさんの笑顔を咲かせる」ことをモットーに、花を通じて笑顔が溢れることを願い、活動に取り組んでいます。これは人間のみならず、地球に対しても抱く思いです。花や木を愛でる人が増え、自然と環境のことを考え、町中に草花が増える。ひとりでは難しいことも、その数がどんどん増えていけば花のある生活が身近になり、地球全体が自然で豊かになります。これからも堅実に、大胆に取り組みを進め、人も地球も笑顔になる未来を創ります。

引用: hanane

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