“2030年までに達成すべき17の目標”


SDGs(持続可能な開発目標)とは、“2030年までに達成すべき17の目標”

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「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。

このサミットでは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいるのです。

SDGsの前身である「MDGs」に代わって定められた

SDGsは、2000年に国連のサミットで採択された「MDGs(エムディージーズ/ミレニアム開発目標)」が2015年に達成期限を迎えたことを受けて、MDGsに代わる新たな世界の目標として定められました。

それまでのMDGsは、以下の8つのゴールを掲げていました。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ゴール2:初等教育の完全普及の達成
ゴール3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ゴール4:乳幼児死亡率の削減
ゴール5:妊産婦の健康の改善
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
ゴール7:環境の持続可能性確保
ゴール8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
(外務省ホームページより)

「極度の貧困と飢餓の撲滅」「HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止」などが織り込まれていることからも分かるように、MDGsは先進国による途上国の支援を中心とする内容でした。

しかし、MDGsについては、途上国からこんな意見も出ていました。

乳幼児死亡率の削減など、発展途上国が抱える問題を挙げ、解決策を探った。だが、その内容は先進国が決めており、途上国からは反発もあった。進展には地域の偏りなどの「見落とし」があったとも指摘された。
(朝日新聞デジタル「SDGsって何?」より)

それを受け、2015年に新たに策定されたSDGsは、誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標で構成されているのが特徴です。

SDGsの「17の目標」とは何か?アイコンとともに紹介!

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では、肝心のSDGsの中身、「持続可能な開発目標」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。SDGsは「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。アイコンとともに、それぞれを見てみましょう。

17の目標

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いかがでしょうか。貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げていることが分かると思います。

「169のターゲット」は目標をより具体的にしたもの!

この17の目標を、より具体的にしたものが「169のターゲット」です。少し長いですが、目標1を例に、実際のターゲットを見てみましょう。

「目標1:貧困をなくそう」に付随するターゲット

1.1:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2:2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3:各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。”
(外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」より)

このように、17の各目標に対し、それらを達成するために必要な具体目標(ターゲット)が、それぞれ5から10程度、計169設定されています。
(169のターゲットの詳細はこちら

いまSDGsが話題になっている理由

日本でSDGsが注目される前から、世界ではそれに先駆けた動きがありました。きっかけは2006年、当時の国連事務総長であるアナン氏が金融業界に向け、責任投資原則(PRI)を提唱したことです。

1.私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
2.私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
3.私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
4.私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
5.私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
6.私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。”
(「責任投資原則」より)

……難しい言葉が並んでいますが、ここで提唱されたのは、機関投資家(大規模な投資を行う企業・金融機関などの投資家)が投資をする際に、ESG[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]課題を反映させること。

つまり、投資家は企業への投資をする際に、その会社の財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうかを重視すべきだという提言が国連によってされたのです。

日本では、2010年に世界最大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに署名。日本企業は機関投資家から、汚染物質の排出状況や商品の安全性、供給先の選定基準や従業員の労働環境……といった、ESGにもとづく非財務情報の開示を求められるようになりました。

これをきっかけに、投資を受ける日本企業の間にも、もっとESGを考慮しようという動きが広まりました。SDGsはいま日本企業にとって、ESGを考える上での大きな指標になっているのです。

【 関連記事:2030年 企業が生き残るため、 いまSDGs, ESGに向き合うべき理由 

SDGsへの日本企業の取り組み

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では、実際にSDGsの達成に向けて、日本政府や日本企業はこれから、どのような取り組みを行ってゆくのでしょうか。

2018年7月にBertelsmann Stiftung(ベルテルスマン財団)と(SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)から発表されたSDGs達成ランキングにおいて日本は156カ国中15位。トップ5は、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ドイツ、フランスです。日本は、17の目標のうち、達成されていると評価されたのは、「目標4:質の高い教育をみんなに」のひとつのみ。そのほかの目標は未達成となっています。


(「SDG Index and Dashboards Report 2018. New York: Bertelsmann Stiftung and Sustainable Development Solutions Network (SDSN)」より。2018年7月に発表された日本のSDGs達成度を評価したもの。達成度の高い順から緑(達成している)→黄色→橙色→赤色(深刻な課題がある)と評価される)

特に「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」「目標12: つくる責任つかう責任」「目標13: 気候変動に具体的な対策を」「目標14: 海の豊かさを守ろう」「目標17: パートナーシップで目標を達成しよう」の5つに関しては、4段階の評価でもっとも低い達成度という評価です。

2018年7月にニューヨークの国連本部で開かれたSDGsに関する政治フォーラム(持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム)では、SDGsの採択から3年経った現時点における各国の取り組みの現状が共有されました。

日本は同フォーラムで、2030年に向けて民間企業および市民団体へのSDGsの取り組みを普及・拡大を促進しながら、“オール・ジャパン”でSDGsに取り組むことを表明。政府は地方創生と中長期的な持続可能なまちづくりを推進すべく、積極的にSDGsに取り組んでいる29の自治体を「SDGs未来都市」として2018年6月15日に選定。その中でも循環型の森林経営に取り組む北海道下川町をはじめ、特に優れた取り組みと認定された10事業に対して上限4000万円の補助金制度も設けられました。政府が地方のSDGsの取り組みを支援しながら成功事例を増やすことで、全国的に持続可能なまちづくりの普及を加速させることが狙いです。

その政府の取り組みを後押しするように、同年6月には、企業がSDGsに取り組む際に留意すべきポイントを整理し、明文化したSDGs Communication Guideを株式会社電通が発表しました。

SDGsへの日本の身近な取り組み

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もちろん、SDGsは国や政府、企業だけが意識すべき目標ではなく、私たち一人ひとりにも密接に関わっている問題です。

例えば、目標8には「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用、及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」、目標12には「2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする」という、個人の生活や意識の変革を必要とするようなターゲットが設定されています。

これらの目標や課題に対し、ユニークなアプローチで向き合っている人物やプロジェクトを、実際にいくつかご紹介しましょう。

取り組み例1: 食品ロスを解消する、「捨てないパン屋」

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まだ十分に食べられる食べ物が捨てられてしまう問題、食品ロス(フードロス)。これを解消するため、週3日の午後だけ店を開き、基本的には4種類のパンのみを売っている“捨てないパン屋”が広島県にあります。

このパン屋では「5年後に流行が終わるパンでなく、これまで長年残ってきたパンを受け継いでいきたい」という考えのもと、日持ちのしない具材をなくし、国産小麦を使用したシンプルなパンを販売することで、食品ロスを解消し、従業員の労働時間も減らすことに成功しています。

(取材記事はこちら!「捨てないパン屋」の挑戦 休みも増えて売り上げも維持」

取り組み例2:自由学園が実践する「食育活動」

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ここ数年、教育の現場にもSDGsへの取り組みが広がりつつあります。先進事例として例えば東京都東久留米市にある自由学園では、1921年の創業以来、食と暮らしと学びを総合的に実践する食育活動が続けられています。

豊かな自然の中にある自由学園では、幼稚園から小学校、中学校、高校、さらに大学部まで一貫教育が行われています。その中で昼食、いわゆる給食で振る舞われる食事は、生徒が毎日交代でつくります。また調理を行うだけでなく、いくつかの食材は園内にある畑で栽培したものが使われ、ご飯はこちらも園内に育つ木の枝打ちしたものや倒れた木を使って薪窯で炊くそうです。

さらに、ただつくるだけでなく、料理を担当したチームは、食事にかかった費用や栄養、生産地など料理の情報のほか、つくる過程での課題などを発表します。生活に欠かせない食事からさまざまなことを学び、持続可能な社会づくりを考える力を育んでいるのです。

(取材記事はこちら!「日々の営みにこそ、学びがある。自由学園の「すごさ」とは」)

SDGsへの身近な取り組み事例をもっと知りたい方はこちらへ!

2030年・持続可能な未来のために!SDGsを理解し、社会課題に関心を持つことが大切

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SDGsは、普遍的な目標として「誰も置き去りにしない」という約束を掲げています。先進国と途上国、そして企業と私たち個人がともに手をとって目標達成のために努力をしていかないことには、貧困の解消や格差の是正といった深刻な問題は解決できません。

私たち一人ひとりにも、できることは数多くあります。2030年の世界を変え、その先の未来に引き継いでいくためには、SDGsを特別なものとしてではなく、「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透させていくことが大切です。

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